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half. ~Sweet blood~
第15章 幸か、不幸か…
嫌いじゃねーか。好きでもないんだろ…あの時俺が引き止めたら俺と居たのかよ。そんな訳ないよな…だって引き止める理由が無かったんだから。
後になって気付くんだよ…
大切なものを失った後に…
当たり前に過ごしてたから気付かなかった。ルシアに好意があったなんて。ただ、泣かせたくなかったし、大切にしたい。そう思ってやれるだけだったから…
「何してんだろ…あいつ」
眺めるのは携帯の液晶。
今でも消せずに登録してあるルシアの名。
「ユキチャン…携帯貸してよ」
様子を見に来た達希に横から奪われる。何も言わず達希の手元をみる…。
きっと…俺の変わりに消してくれんだろ?忘れさせたいんだろ?
「もしもし、ルシア君?」
「なっ…お前っ…やめろって…」
「ユキチャンに変わるね」
平然とした表情。
突き返すように出された携帯。
完全パニックな脳はフル回転するも。
何も言葉が浮かばない。
「っ…もしもし」
「おー、久しぶり」
変わらない偉そうな態度。声を聞いてホッとした…バクバクうるさい心臓を紛らわせる為に酒を流し込む。
「久しぶりだな」
「いきなり連絡くんからビビった。元気にしてたかよ」
「あぁ、相変わらずだ」
「ははっ、そーかよ。何か助けて欲しい事でもあんのかよ」
《何かあれば俺に言え》最後ルシアが言った言葉。忘れる訳ない、その言葉があったから連絡先を消さずに済んだんだ。
「いや…何にもねーよ」
「そーかよ、昂に変わってやるよ」
「いや…いい。また連絡する」
「変な奴だな、じゃーな」
切られた電話からは名残惜しむ事もなく、機械音が響いた。