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half. ~Sweet blood~
第15章 幸か、不幸か…
父さんは俺を愛してくれた。こんな汚れた俺を最期まで大切にしてくれてた。だから父さんを忘れる事はないよ…。でもユキチャンが笑ってるのも比べられない位大切。これって、好きって気持ちなんだよね?
「ユキチャンがね居てくれなきゃ…俺死んでたよ?大切にされるだけじゃ足りないんだ…今はユキチャンを大切にしたい」
「つけ込み過ぎだろ」
笑いながら置かれた手は、暖かかった。クシャクシャされた頭…脳裏に浮かんだのは父さんの顔じゃない。笑ったユキチャンの顔だった…
「幸せか不幸かなんてのはさ…考え方次第で変わるんだよ。ルシア君の幸せを願ってあげれる事って幸せな事じゃん…」
「だな…」
「ユキチャンちゅしよっか」
「駄目押しだな」
跨がる達希は俺の眼鏡をゆっくり外し、首に手を絡めると触れるだけの優しい口づけをした。
「ちゅ…んっ…いつかでいいよ」
「ん…っ…何がだよ」
「いつか俺を想って抱いて」
背中に回した手に力を入れる。流されてるんじゃない。この口づけは達希を想ってしている。瞼を閉じている達希はせつない吐息とともに呟く…
「ユキチャン…好きだよ」
「あぁ…知ってる」