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half. ~Sweet blood~
第16章 道
窓を開ける。風が入り外の匂いが混じった。
交差点を忙しく渡る人たち。足早に渡り切ると気怠そうに足を進めた。限られた時間の中で生きる人間…どこか余裕が無さそうに見えるのは、俺が死なないからか…。
携帯片手に頭を下げるサラリーマン。これもよく見る光景だった。何度も何度も、見えない相手に頭を下げては額の汗を拭う…
周りなんか見えてないんだろうな。
横断歩道を渡らず、道路を横切るそいつ。
「人間の命は儚いな…あれだけの事で死んじまうんだからな」
そうだ、俺たちは死なない。
それは俺が望んだ事。
友人が死んでいくんだ。年を取って、病気になり衰弱していく。なのに…俺は若いまま。年を取らず病気なんて無縁だった…
「後悔してんの?」
「いや…」
次第に近くなるサイレンの音。人だかりができ、車も流れていかないでいた。そこには横たわるサラリーマン…