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half. ~Sweet blood~
第1章 サヨナラと、出会い…
「さてどうすっかな」
大通りに出てみるも右も左も分かんないんじゃ、何処に行けばいいかなんて見当もつかず。ただ人混みに流され足を進める。
今回日本にhalfが来たのは初めてだし、誤魔化せば純人間として見てもらえるよな。なんとか屋根のある生活がしたい訳だが…
「無理だよな」
諦めたようにため息を吐き
公園のベンチに腰をおろす。
そんな時だった…
「よお、お前もしかしてhalfか?」
どっちの意味で言ってるんだ?
でも間違いなく俺に話しかけてきている。
「あー、いや、違ったら悪ぃ」
俺の前にしゃがみ込む男は
スーツ姿に黒縁の眼鏡をかけていた。
陽に当たり青く光る髪が俺の目と似ている…
「純、人間か?」
こいつ、分かってる。
halfの事知ってんだ。
「half」
「やっぱりな」
つり気味の目を細め、口角をキュっとあげ満面の笑みをこぼす男は俺の隣に座り長い足を組むと…
「主人はどうした?」
「捨てられた」
驚愕の表情で俺を見つめ
何やら考え込むと男はニカっと笑い
「じゃぁ、ついて来い。
住む所提供してやるよ」
きっと新しい主を紹介されるんだな。
住む所の心配をしなくて済んだ。
ほっと肩の強ばりを落とし着いていく。
「あの日のオークション会場に居たんだよ俺。裏方で仕事してたんだけどな、halfなんて初めて聞いたから、ついどんなもんか見たくてよ」
男はベラベラと話すが俺は口を閉ざした。
「俺雪斗って言うんだけどお前は?」
名前?お前に言う必要ねーじゃん。
またしても男の言葉を流した。
「まぁ、いっか詳しい事は」
そうだよ。
どうせ《気味悪く》なるんだ。
何も知らなくていい。