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half. ~Sweet blood~
第1章 サヨナラと、出会い…
「お前なぁ、身体売る気だったのかよ」
呆れた表情で俺を見下ろす男。
「ちげーよ」
「じゃ、何であんな所にいたんだ」
「新しい主探してんだよ、一人じゃ生きて行けねーからな。まだガキなんだ誰かに飼われなきゃ飯も食えねーんだよ」
分かってる。俺には生きていく為の力なんてないんだ。人の血ばっか吸って生きていく訳にはいかない、だから主が必要なんだよ。
「面倒臭いやつだな、俺が主じゃ不満か」
「お前の血くれんの?すっげー甘い匂いすんだよ、一緒に居たら欲求にかられる」
「やるよ」
「はぁ?だから簡単に言うんじゃねーよ」
マンションの前で更にごねてみせた。だって、一度お前の血吸ったら、きっと離れられなくなる。脳がそう訴えているんだ。
「こい、ただで吸わせるんじゃねーよ。条件付けてやるから黙って中に入れ」
言われるがまま甘ったるい香りが充満する部屋へと押し込まれる。服の裾を伸ばし鼻を隠すようにして…
「窓、あけて…この匂いやばいから」
気怠そうに歩きながら窓を明ける。時折自分の身体の匂いを嗅ぎながら何度か首を傾げていた。
「俺ってクサいのか?」
「ちげーよ、てかマスクねーの」
「お前なぁ、口のきき方知らねーの?」
ブツブツ文句を言いながらも差しだし。
あぁ、慣れねー。
舌先で歯をなぞる、若干尖ってはいるが完全には出ていない。マスクの上から更に袖で覆った。