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half. ~Sweet blood~
第9章 生き方と、別れ…
兎に角優しいんだ、本当に息子みたいに接してくれる。屋敷の人たちも良くしてくれて、すごく幸せな生活ができていた。
満足。
いや、何か足りない。
幸せな生活を送る中で、欲が出てきたんだと…足りない何かを心に隠していたんだ。でも白瀬さんはこの変化に気付いてくれた。
「達希、最近悩みでもあるのかい?」
「そんな事…ないですよ」
テーブルに頬杖をつきながら、困った顔を向けられた…あー、お父さんってこんな感じなんだと、ふと思った。
「言いにくいことかな?」
「本当に何でもないんです」
「そうか、ならまた話したくなったらでいいよ」
ほら、またこうやって頭を撫でるんだ。大きな手のひらでクシャクシャと髪を乱し…。いつもそうだ、優しくするだけ。頭を撫でるだけ。
もうこれじゃ足りないんだよ…
身体が覚えてるんだ…
もう普通の生活なんて無理なんだ…
愛情だけじゃ満たされないんだ…
「白瀬さ…ん…俺…」
我慢なんて出来なかった。
今を壊してしまいたい。
俺は…俺は…
そう躾られたんだから…
今の生活に切り替えられない身体。
脳までが支配されていく。
幸せな生活…望んでいた事なのに
それを自ら壊しにかかった。
ごめん…白瀬さん。