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おこごと
第5章 蜂蜜色
こんな風に、火が燃えるように揺らいだ瞳で、人から見つめられた事が、私は無い。

「先生。」
(もうやめて。)
「なに?」

「私ね、お金が必要なんです。」

先生の顔を見る事が出来ない。
(もう私に優しくしないで。)


「だから、もう行かなくちゃ。」
立ち上がりかけた私の手を先生が掴む。咄嗟の事に、私の体がビクっと震える。

「…ダメ。行かせない。」
温かい、大きな手。あの時と同じ。
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