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可愛いヒモの育て方。
第6章 いざ、温泉旅行へ!
漬け物コーナーを見たりお菓子のお土産コーナーを見たり、建物の中をうろうろしていたら、麻人が私の手を掴んできた。
ヒールの高いロングブーツだったのもあり、バランスを崩してあやうくこけそうになった。
「もー危ないっ」
「友梨香さんが落ち着きなさすぎるから悪いんです」
「てかこれ、欲しい」
「……なんすか?」
麻人が私の手元を覗きこんできた。私はたった今見つけたゆるキャラ、『うまもん』のストラップを、手のひらを広げて麻人に見せた。
「…………」
「微妙な顔すんな」
「だって可愛くなーい」
「いいの、これ買う」
そう言って、レジに向かおうとした時だった。
コートのポケットに入れていた携帯が、ぶるぶると震えた。見ると電話で、綾乃からだった。
「ちょっと電話来たから、外行ってくんねー」
平日で混んでないとはいえ、そこそこ人がいる。ざわついた場所だと電話しづらいのもあって、私は麻人にストラップを渡し、慌てて店の外へと向かった。
「はいはいもしもーし」
「なかなか出ないから、仕事中かと思ったわ」
綾乃はいつも通りの、マイペースな口調でそう言う。