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可愛いヒモの育て方。
第8章 芽生え
「……しんど」
「お疲れ様でーす」
バイトの時と同じように、そうねぎらわれる。乱れた浴衣を直すのも億劫で、仰向けで横になったまま、心地よい倦怠感に浸る。このまま眠りたい気分だった。瞼が重い。
麻人も隣で、四肢を投げ出して横たわったままだ。
「麻人って、エッチしてる時優しいよね」
「え?」
麻人が私を振り向くのが、気配でわかった。ふかふかの布団の上だと首をまわす仕草すら面倒に思えて、私は天井を見上げたまま、麻人を見なかった。
「優しい?」
優しいというより、私を常に気遣ってくれる。そういう人はあまり周りにいなかった。だから気遣われていることにも、彩乃に指摘されるまで気付けなかったのだ。
「ローターであんだけいじめられて優しいとか、どんだけMなんすか」
「そこじゃないー。サド!」
「もう、優しいって言ったりSって言ったり、どっち」
「どっちどもいいよ、面倒くさい」
「そっちから振ったのに!」
拗ねたような声を出す麻人をスルーし、目を閉じる。ヤバい、睡魔がすぐそこまで来てる。