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可愛いヒモの育て方。
第8章 芽生え

 入浴を終え、旅館の豪勢な朝食を食べ終え、荷物の整理やら身支度を整え、旅館を出たのは十一時くらいだった。昨晩立ち寄れなかった土産屋をまわり、店への土産や特産品などを買い、高速に乗ったのが、午後一時くらい。
 帰りも行きと同じく、麻人に運転を丸投げしているため、そこでようやくひと息つけた感じだ。

「楽しかったねー! 一泊だと慌ただしいけど、たまには泊まりで旅行もいいもんだねー」
「ですねー! これから二時間以上運転とかダルいけど」
「家に着くまでが旅行。道中も楽しめっ」

 麻人が私を、横目でちらりと盗み見る。

「それ、友梨香さんにそっくりお返しします。いろいろと手抜きなくせに」
「いいの、帰るだけだし」

 行きは髪を念入りにブロウし、つけまつげまでつけてバッチリお化粧したのに、今日は髪を軽く乾かしてファンデーションとシャドウを塗った程度。朝バタバタしていたし、帰るだけだし、ねえ。

「さっきと言ってること違う」
「細かい細かい」

 ふいに、大きなあくびが出る。なんやかんやで、あまり寝てなかったから、車の振動が睡魔を誘った。
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