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可愛いヒモの育て方。
第11章 依存
認めてしまえばその感情は、ジグソーパズルのように綺麗に、私の心の中でハマった。
「……まったく、人の携帯勝手に見て、なーにビビって泣いてんすか」
呆れたようにそう言われ、麻人は私の隣にすとんと腰を下ろした。多分私が泣いていた原因が、留守電にビビっていたことだと思ったのだろう。
半分はそれ。だけどあとの半分は違う。
「……うるさい。携帯見ちゃってごめんね」
ようやく少し落ち着き、謝った。もちろん携帯を見られるのは嫌だろうが、それ以上に、麻人は電話の件を、あまり知られたくなかったはずだ。
麻人は私の分のコーヒーを取って、渡してくれた。私はそれを一口飲んだ。
「ありがと」
「七百円」
「高いわ」
麻人が笑う。見慣れたその笑顔にほっとした。
「さっきの留守電の人は、お母さん? 麻人が私の家に頻繁に来てたのは、お母さんと一緒にいたくなかったから?」
ずっと疑問に思っていたことを、私は麻人に聞いた。
「……はい」
麻人は小さく頷いた。家の話に触れた時は濁すような素振りを見せる時もあったのに、もう、そうしなかった。