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可愛いヒモの育て方。
第11章 依存
離れ離れで寂しくて精神的におかしくなってしまったのなら、麻人の父親と、一緒に暮らせるようになれば治るのではないかと思った。
だけど麻人は首を横に振る。
「父さんは嫌がってました。もともと仕事人間だったし、飛ばされるのも多いとこらしくて。実際三年のうちに二回場所変わってますから」
「……お母さんの状況、話したの?」
「少し。連絡じたい、あんま取れないから、最近」
「お姉さんは?」
「結婚して、まだ一歳になったばかりの子供もいるんすよ? そっちで手いっぱいですよ」
「他に相談できる人は?」
「……どうなんすかねー」
間延びした、のんびりした声。いつもと変わらない穏やかな声色からは、麻人の気持ちは何も読み取れなかった。麻人の顔を窺おうとして振り向くと、ふいに麻人は私の肩に、ぽすんと頭を乗せてきた。
「母さんのこと話したの、友梨香さんが初めてです」
「うん、ごめんね」
麻人は隠していたのに、無理やり聞き出したのは私だ。勝手に携帯を盗み見て、麻人の母親からの留守電を聞いてしまったから。
「別に、いいですよ」