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可愛いヒモの育て方。
第11章 依存
「だーから、なんで友梨香さんが泣くんすか?」
「……泣いてないっ」
「三割増しくらいブサイクになってますよ? いいんすか?」
「うるさいっつの」
頭を撫でてこようとする麻人の手を、振り払う。麻人は肩を揺らして笑っていた。
「でも、時々興奮した母さん見てて、この人誰なんだろって、思う時があります。父親がいた頃は、こんなんじゃなかったのに、どうしちゃったんだろって、妙に冷静に思う時があります」
麻人の視線はコーヒーカップに注がれたまま。だけどその目は別のものを見ているみたいだった。今の母親か、昔の母親か。
「この前母さん、自殺しようとしてたんです」
物騒な単語に驚いて、思わず麻人を凝視する。
「泣きながら包丁持って、自分の首に。さすがにビビった。独りにしておくのが怖くて、しばらくバイト、お休みしちゃってたんですけど」
「……それで、シフト入ってなかったんだ」
「はい」
「今は大丈夫なの? さっきの留守電……」
「あれくらいは、わりとよくあるんで。大丈夫です」
「お父さんと、一緒に住むことはできないの? お母さんだけ、お父さんの方に越すとか」