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可愛いヒモの育て方。
第12章 来客

 なんの屈託もなく、彩乃は笑って頷いた。それから土産だという紙袋を私に差し出してくる。

「ありがとう。お菓子?」
「温泉饅頭」
「彩乃も温泉行ったの?」
「そう。店締めて、おばさんたちと行ってきたの」

 饅頭と一緒に、入浴剤もくれた。ご当地のものらしい。血行促進だの疲労回復だのといろんな効力が書かれている。最後に性欲増大と太字で明記されていて、私は爆笑した。

「性欲増大って!」
「ね。友梨香にぴったりだと思って。もしかしたら、前にあげた媚薬の時のように、すごい効果が期待できるかも」
「絶対ないっしょ。入浴剤で性欲が増すとか聞いたことないわ」

 二人で笑った。普段あまり湯船には浸からないけれど、今度麻人と試してみようと思う。
 それからチューハイを開け、たわいもない話をしながら一緒に酒を飲んだ。彩乃との飲みはずいぶんと久しぶりだった。明日仕事じゃなければ、思う存分飲めたのに。
 軽い酔いが全身をめぐり始めた頃。彩乃に自分の気持ちを告げた。

「……私、麻人のこと好きみたい」
「うん、知ってる」
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