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可愛いヒモの育て方。
第2章 ポスティング、参戦!
「無理じゃねえ、やるんだよ。三人じゃキツいから、誰か空いてそうな子探して呼んで。バイトの子。何人でもいいから。今店工事中でタイムカード押せないから、時間はどっかメモってつけとけ。あ、私服でいいからな」
「ちょっと! 私これから用事が」
「じゃ、先始めてるから。絶対来いよ!」
一方的に。本当に一方的にそれだけ言って、通話は切られた。
「もう、どれだけ俺様店長なんだ!」
私は頭をかきむしった。せっかくの休日が。土曜日休めるなんて、めったにないのに。麻人の相手の次は仕事か。
しかし、あまり嘆いてもいられない。私はアドレス帳を開いてバイトの子たちに片っ端から連絡した。だけど休日。そもそも若い子たちは五人ほどしか雇っていないし、いきなり来てと言われて来れるような、フットワークの軽い子も、そうはいないだろう。
通話に出ない子は諦めて、断られ、結局捕まったのは一人だけだった。高校生の女の子、橋口(はしぐち)さん。
これで四人か。
「うーん足りない……」
その時だった。
「……さっきから、なーに一人で騒いでるんすか? 怖いんですけど」