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可愛いヒモの育て方。
第2章 ポスティング、参戦!

「あー! つっかれたー!」
「結局半日潰れちゃいましたね」

 帰りの車の中で時間を確認すると、すでに夜の七時をまわっていた。
 ポスティングは夜の六時半くらいまで続いた。それから橋口さんを家に送り届け、やっと肩の荷が下りた気分だ。
 つい愚痴も零れる。

「まだ半分くらい残ってるし、麻人、明日も付き合う?」
「マジすか……。もうどこ配ればいいんすか?」
「私に聞かれても」

 実を言うと、私の地元はここじゃない。二個隣の県に、実家があるのだ。飲食店に就職して、異動してきていた。
 それもあって、職場から家、その周辺の道以外はあまりわからなかったりする。
 店長に地図を渡され、配り歩いても、いまいちよくわからなかった。結局橋口さんは店長と、マネージャーは単独、私と麻人とで車をちょいちょい走らせつつ、周辺の民家のポストにチラシをひたすら突っ込む作業を五時間弱。いい加減飽きたし疲れた。

「お腹すいたー」
「夕飯外で食べていきます? 今から作るのだるいし」
「そうねー。……って、あんた帰らなくて平気なの?」
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