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可愛いヒモの育て方。
第3章 秘密のご褒美
ポスティングを終え、二ヶ月ほど経った頃の日曜日。
夜、ピークが終わり客達も引き始めた頃、バックヤードで店長に呼ばれ、こんなことを聞かれた。
「船越ってさ、彼氏いるっけ? もしかして結婚してたっけ?」
「…………はい?」
あまりにも唐突すぎて、質問の意図がわからない。間の抜けた声でそう返してしまった。
「彼氏もいないですし、結婚もしてないですけど。急にどうしたんですか?」
「あ、いや……、そうかいないんか」
店長は腕を組み、眉間にしわを寄せて何かを悩み出した。
なんなんだこの反応。
「どうしたんです?」
「うーんどうすっかなー」
「何がです? てかなんの話です?」
会話が噛み合わない。説明を求めているのに丸ごと無視された。
その時、キッチンにいたバイトの子が店長を呼んだ。店長は顔をあげ、私に向かって一言、「あとで店長室にきて」と言い残し、その子のところに向かっていった。
「なんなんマジで」
「愛の告白じゃないっすか? いいじゃないっすか、店長との恋。そっちのがネタになりそう」
「ばか。もう四十過ぎの二児の父だぞ」