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可愛いヒモの育て方。
第3章 秘密のご褒美

 いつの間に居たのか、麻人が厨房からひょっこりと顔を出していた。

「てか、何盗み聞きしてんの。悪趣味ー」
「たまたま聞こえただけです。友梨香さんに悪趣味とか言われたくない」

 唇を尖らせてそんなことを言う。あらやだ生意気。

「職場の上司と不倫とか、ドロドロで楽しそうですね」
「もうやめてよマジでー!」

 想像しただけで鳥肌。あんな気分屋な俺様店長、冗談じゃない。
 両腕を抱きしめるようにさする私に、しばらく麻人は爆笑していた。
 そして、九時過ぎ。店長よりも早めに上がり、私服に着替えてから、店長室を訪ねた。

「失礼します。なんですか? 話って」

 店長室と言っても、畳二畳分くらいの小さなスペースで、デスクとノートパソコン、小さな収納ケースくらいしか置いてない。店長が事務仕事をする時に使うくらいしか、用途もない場所だ。
 パソコンに向かっていた店長は、思い出したようにカバンを漁り、私に茶封筒を差し出した。

「それ、やるよ」
「え? なんですかこれ」

 封を切って中身を取り出すと、それは温泉のペアチケットだった。
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