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可愛いヒモの育て方。
第3章 秘密のご褒美
その時だった。ふいに麻人の携帯が鳴った。
彼の着信は、アップテンポのロック曲。あまりメジャーじゃないグループの曲で、前に曲名を聞いたけど、忘れてしまった。
私はベッドに放置してあった、彼の携帯を見た。スマホの画面に映し出された文字が、自然と目に入る。彼の母親からだった。
その時ちょうど、麻人が部屋に戻ってきた。ほぼ同時くらいに、着信は途絶える。
「なんかお母さんからっぽいよー。やっぱ心配してんじゃないの?」
タオルで髪を拭く麻人に、携帯を差し出した。
麻人は携帯の画面を見つめ、すぐにそれをテーブルに置いた。
「……かけ直さないの?」
「はい、もう遅いし」
「今かかってきたんだから、かけ直せばいいのに。何か用があるんじゃないの?」
メールで済ませることもできるのに、夜中に電話してきたということは、それなりの用件があるんじゃないのか。私はそう思ったけど、麻人は何も答えなかった。
「てか、ちゃんと連絡したん? うち来ること」
「しました」
「ならいいけどさ……」
なんとなく、その時の麻人の様子はいつもと違って見えた。どこがとは、上手く言えないけれど。