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可愛いヒモの育て方。
第5章 熱
「そうゆうわけじゃないんですけど……、なんか、食べれない」
麻人は小さく首をかしげてみせた。
麻人の額に手のひらを当ててみるけど、特に熱っぽくはない。顔色が悪いわけでもなかった。
「まあ、たまにはそんな日もあるか」
私も疲れている時なんかは、あまり食欲が湧かない日もある。それほど深くは考えなかった。
「疲れてんじゃないの? 早めにお風呂入って寝なよ。片付けとくから」
「はーい」
麻人は早々に着替えを持って浴室へと向かった。私も片付けを済ませ、寝る準備を整える。
その日は何もせず、日付が変わる前にベッドに入った。
そして、翌日。
今日は休みだけど、お偉いさんが偵察に来るので、午前中だけ店に行かなければならなかった。七時の目覚ましで起きる。
ふと隣を見ると、麻人はすでに起きていた。
「はよ。早いじゃん」
「……おはようございます」
声に違和感。なんだか鼻声だし、かすれていた。
「なんか……寝苦しくて」
天井を見上げたままぼーっとしている麻人の額に、私は手のひらを当てた。