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可愛いヒモの育て方。
第5章 熱

 腕は掴まれたまま、麻人の左手が、私の体に触れた。緩く撫でられるようにさすられる。

「……ス、しても?」
「え?」

 かすれた声は、酷く聞き取りづらかった。
 だけどきちんと聞き返す前に、気付けば唇を塞がれていた。

「ん……んん!?」

 まさかキスされるとは思っておらず、完全に不意打ちを食らいどうしたらいいのかわからなかった。そのままベッドに引きずりこまれ、深く唇を合わせて貪られた。
 同時にブラウス越し、乳房を揉まれる。すべてが麻人とは別人の行為のように、荒々しかった。

「ちょ……っ、熱あるのに」

 首を振り、唇が離れた瞬間、息をつく。
 麻人は私の耳元に唇を寄せた。

「麻人……?」

 熱のせいだけじゃない。麻人の様子はおかしかった。まるで欲情しているみたいな目をしている。

「俺、昔から、熱出すとダメなんです」
「ダメ?」
「……無性にしたくなっちゃって。移らないなら、襲っていいすか?」
「はあ!?」

 何その変な体質。

「ダメに決まってるでしょーが!」

 ただでさえ熱が高くてつらそうなのに、そんなことをしたら、死ぬんじゃないかと思う。もちろん麻人が。
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