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可愛いヒモの育て方。
第5章 熱
朝は微熱程度だったのに、一日でこんなに上がるなんて。心配になるのと同時に、長い時間放置してしまったことへの後悔もあった。
「薬は飲んだの?」
「朝、食べて飲みました」
「昼は?」
麻人は首を振る。
とりあえず、麻人を病院に連れていかないと。
「起きれる? 病院行こう」
たけど麻人は再び首を振った。
「動くのつらい?」
「……病院は、大丈夫です」
「何言ってんの、九度超えてるくせに」
私は少しだけ口調を強めて、言った。
麻人がまた首を横に振り、拒否する。それから私の腕を掴んだ。
「わ……っ」
軽く引かれ、ベッドのすぐ横に立って麻人に話しかけていた私は、ベッドで眠る麻人の上につんのめりそうになった。
脇に手をつき、どうにか持ちこたえると、私の耳に唇を寄せ、せわしない呼吸を繰り返しながら、麻人が問いかけてきた。
「……友梨香さんは本当に風邪、移りませんか?」
「え? ……うん、人から移されたことはないよ?」
どうして今、そんなことを聞くのだろう。
麻人の唇が、眼前にある。熱い息遣いに、不謹慎だけどどきりとした。