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かわいい狼くん
第10章 近付く影


『お水、みんなに配ってくれてるの?』


「ただの口実だけどね。
桜井さん怖がってそうだから様子を見に…」


そう言いながら心の隣に座る春樹


『え!ありがとう…///
実は驚かす隙もないくらい
お客さんが走って通り過ぎちゃって…』



「はは!きっととんでもなく怖い事でも
あったんだろーね。」


しばらく話し、
春樹は立ち上がる


「それじゃあ、そろそろ
お客さん来るだろうし俺戻るよ」


『あ、うん!
ありがとう九条くっ…きゃ!』



「おっと…」


勢いよく立ち上がった拍子に
よろけてしまった心


咄嗟に春樹が心の腰に手を回し支える


『あ、あはは…ごめんね』


心が離れようとすると
グッと腰に回された手に力が入る…



『?…あの…九条くん
もう大丈夫だよ…?』


春樹を見上げる心だが
薄暗い部屋と眼鏡のせいで表情がわからない…


『九条くん?』


「あ、悪い!じゃあ戻るね」


そう言って回していた腕を離し
春樹は戻っていった


どうしたんだろ…九条くん?


するとまた足音が聞こえて来た


あ、次は走ってない!
よし!


気合いを入れた心は
物陰に隠れて待つ…

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