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かわいい狼くん
第14章 別れと出会い
『…はぁ……』
重い溜め息をつく心
"『だから…どうかっ…!』"
幸せになってなんて…言えなかった…
そんな言葉
ただ九条くんを苦しめるだけだもん…
『はぁ…』
また溜め息をついた時
ポンと頭に手を置かれた
「きっと伝わってるよ…」
『彰斗くん…』
振り返るとそこには優しく頬笑む彰斗
まだ、心に負った傷は消えないだろう
でも、あいつが前に進めないのは嫌だなんて…
「ココは優しすぎだよ…」
『ん…九条くんだから…かな?』
「えっ…!なにそれ…!?」
一気に不安気な顔をする彰斗
『あっ!違うよ?!
そういう意味じゃなくて!
記憶は曖昧だけど、
大切な人がいなくなった気持ちはわかるから…
前を向いて欲しいと思ったの…』
「そうだね…
僕は何があっても心の側にいるよ?」
『彰斗くん…』
柔らかく頬笑む彰斗を見つめる心
すると彰斗の顔が近付いてくる…
『あ…』
唇が触れそうになった瞬間、
屋上の扉が勢い良く開いた…