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かわいい狼くん
第18章 動き出す時間
『アル、くん…?
私…病気なの、かな……』
不安に押しつぶされそうな顔で
また俯く心
するとアルから
思いもよらない言葉が返ってきた
「なんでそんな事が起こるのか…
…知りたい?」
『えっ…』
心は咄嗟にアルの方を見た
そこにはいつもと変わらない…優しい顔
アルくんは…なにを知ってるの?
知りたい…
でも、……こわい。
すると膝の上で握りしめていた心の手に
暖かく包まれる感覚がした
「大丈夫だよ?
無理に知ろうとしなくていい。
それを知る事で心の不安が
消えるのかもわからない。
それに…」
『それ、に…?』
アルは辛そうに顔を歪め
「心にとって、つらい事かも知れない。」
『っ…!』
心は一瞬目を大きく開き
自分の手を見る
重ねられた大きな手…
あったかい。
そしてゆっくり目を瞑る
浮かぶのは…彰斗くんと皆の笑顔
大丈夫…私には……、皆がいる。
私が強くならなきゃダメ!
自分の中で何かが大きく動きだした