この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
官能ショートショート『366日』
第1章
車は遅々として進まなくなった。
渋滞にはまったようだ。
日曜の夕方なのだ。
やむを得ないかもしれない。
初夏の夕暮れの光がビルのガラス窓に反射し、ハンドルを握る凜子の目に、時折刺さった。
不意に、カーラジオから曲が流れ始めた。
低音の女性シンガーだ。
それでもいい……
それでもいいと思える恋だった
戻れないと知ってても
つながっていたくて……
「私、この曲好きだわ……」
助手席に乗っていた結衣がつぶやいた。
私も……と、凜子は言おうとしたが、思いとどまった。
思い出したのだ。
一週間前だ。
凜子は友和から突然別れを切り出された。
ホテルでの逢瀬のあとに。
友和は言いづらそうに口を開いた。
「凜子……ごめん……実は……うちのが妊娠したんだ……」
「え、いつ? なんで?」
凜子はその言葉が、間髪を入れず口をついて出たことに、自分でも驚いた。
でもその質問に答えて欲しくないことは、分かっていた。
多分、友和も答えたくないだろう。
しかし、友和の返答は、それ以上に衝撃的なものだった。
「実は……もう……臨月なんだ……」
渋滞にはまったようだ。
日曜の夕方なのだ。
やむを得ないかもしれない。
初夏の夕暮れの光がビルのガラス窓に反射し、ハンドルを握る凜子の目に、時折刺さった。
不意に、カーラジオから曲が流れ始めた。
低音の女性シンガーだ。
それでもいい……
それでもいいと思える恋だった
戻れないと知ってても
つながっていたくて……
「私、この曲好きだわ……」
助手席に乗っていた結衣がつぶやいた。
私も……と、凜子は言おうとしたが、思いとどまった。
思い出したのだ。
一週間前だ。
凜子は友和から突然別れを切り出された。
ホテルでの逢瀬のあとに。
友和は言いづらそうに口を開いた。
「凜子……ごめん……実は……うちのが妊娠したんだ……」
「え、いつ? なんで?」
凜子はその言葉が、間髪を入れず口をついて出たことに、自分でも驚いた。
でもその質問に答えて欲しくないことは、分かっていた。
多分、友和も答えたくないだろう。
しかし、友和の返答は、それ以上に衝撃的なものだった。
「実は……もう……臨月なんだ……」