この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
官能ショートショート『366日』
第1章
あなたは私の中の
忘れられぬ人
全て捧げた人
もう二度と戻れなくても
今はただあなた……あなたの事だけで
あなたの事ばかり
曲が終わった。
いつか、こんな歌詞のことが起こらないことを祈りながらも、一途な悲劇のヒロインの気持ちが心に響き、口ずさんでしまう曲だった。
でも、今、その歌詞が現実のものとなった。
そのときだった。
結衣がお腹をさすりながら、またつぶやいた。
「こんなに男の人に一途なひとっているのかしら……? でも……私も一度でいいから、こんな激しい一途な恋をしてみたいわ……」
凜子はハンドルを手が白くなるほど握りしめた。
「あ、そうだ、凜子さん、これから時間ある?」
思い出したように結衣が言った。
「ん? なんで?」
前を向いたまま答えた。
「良かったら、うちでお茶でもどう?」
「え……?」
「うちのひとね、今日はゴルフなの、夕方には帰ってくるわ、凜子さんこんなにしてもらって、うちの人からもお礼を言ってもらわないと……こんな私をほっといてゴルフなんですもの」
「ま、ひどいわね……」
「そうでしょう? 二人でとっちめましょう?」
凜子は結衣の方を見た。
無邪気な笑顔だった。
凜子は前を見た。
車がスムーズに流れ出した。
渋滞を抜けたようだった。
「そうね……いいわ、これも何かの縁だから……」
凜子はアクセルを踏み込んだ。
完
忘れられぬ人
全て捧げた人
もう二度と戻れなくても
今はただあなた……あなたの事だけで
あなたの事ばかり
曲が終わった。
いつか、こんな歌詞のことが起こらないことを祈りながらも、一途な悲劇のヒロインの気持ちが心に響き、口ずさんでしまう曲だった。
でも、今、その歌詞が現実のものとなった。
そのときだった。
結衣がお腹をさすりながら、またつぶやいた。
「こんなに男の人に一途なひとっているのかしら……? でも……私も一度でいいから、こんな激しい一途な恋をしてみたいわ……」
凜子はハンドルを手が白くなるほど握りしめた。
「あ、そうだ、凜子さん、これから時間ある?」
思い出したように結衣が言った。
「ん? なんで?」
前を向いたまま答えた。
「良かったら、うちでお茶でもどう?」
「え……?」
「うちのひとね、今日はゴルフなの、夕方には帰ってくるわ、凜子さんこんなにしてもらって、うちの人からもお礼を言ってもらわないと……こんな私をほっといてゴルフなんですもの」
「ま、ひどいわね……」
「そうでしょう? 二人でとっちめましょう?」
凜子は結衣の方を見た。
無邪気な笑顔だった。
凜子は前を見た。
車がスムーズに流れ出した。
渋滞を抜けたようだった。
「そうね……いいわ、これも何かの縁だから……」
凜子はアクセルを踏み込んだ。
完