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羽のある生物・羽の無い女
第1章 飛翔
ポン、ポン、と、スチールドラムみたいな音色がきこえて
それで目がさめた。

クロスもカーテンも真っ白で、マユの中のようだった。

ああ、ワタシはいま、ここで生まれたんだなって
何となくわかったよ。

カラダも、濡れていたからね。

たぶんワタシは、この真っ白な部屋とつながっていた。
天井で、柔らかそうな何かが、ゆっくり回っていた。

カラダからぜんぶの指先に向かって、心地よい波が広がっていた。
それで、気が付いたんだ。
ワタシには、手や、足が生えている。びっくりしたよ。
それは透き通ってて、かすかに色づいている。

天井を見上げて、指をだしてみた。
ほやり、ぼやり、まわりに影ができて、愉快だった。
思い通りに動かせる器官って、面白い。

柔らかそうな何かに、指が届いた。
ほんとうに柔らかくて、すごく良い感じだったよ。
だからカラダごとつかまって、かみ付いたんだ。
かみ付くたびに心地よい波が、きゅうっとみなぎる。ぜんぶ食べたよ。

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