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~散花~
第8章  摩羅

「皇太后さまというのは、どのような御方なのでしょうか」

できるだけ事前情報を得ておきたくて、玉蘭は質問ばかりしていた。

現皇太后といえば、つまりは先帝の皇后だ。そして玲利は先帝の貴人。

建前上は同じ「皇帝の妻」だが、片や後宮に君臨し続け、片や後宮どころか松風殿もじきに離れなければいけない身。

果たして交流はあったのだろうか。

玲利は苦々しく虚空に視線を流した。

「あの人は…」

あの人呼ばわり。

「王族出身ということもあって、皇后の頃から酷く傲慢な性格だったわね。

私たち“その他大勢”のことなど歯牙にもかけない。

毎日“朝見の儀”で顔を合わせていたけれど、選女上がりの妃たちをあからさまに見下していたわ」


……聞かなければ良かったかもしれない。

玉蘭は、まだ見ぬ皇太后の姿を想像して恐ろしくなってしまった。




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