この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
~散花~
第9章 枕絵
「本日もご検分は行われなかったよしにございます」
呂栢の報告に、玉蘭と玲利は胸を撫で下ろした。
「この五日間、なんとか乗りきったわね。玉蘭はほんとに運がいいわ」
「ありがとうございます」
本当に、この五日間はヒヤヒヤした。玉蘭が月の穢れに入ってしまったのだ。
穢れの間の五日間、女人は立ち歩くことが許されず、曹司に籠っていなければならない。
それが宮廷のしきたりのため、梨香殿での講義を欠席しても咎められることはない。
しかし、もし欠席中に“皇太后のご検分”が実施されてしまえば、万事休す。今までの努力が水の泡になるところだった。
明日から、玉蘭は再び講義に出席できる。
心底ほっとして寝台に腰をおろすと、玉蘭は枕元に置いてある草紙を手にとった。