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~散花~
第15章 逢瀬
「尚侍はおるか」
女の呼びかけに、一人の女官がすぐさま駆けつけた。
「皇太后さま…!! いかがあそばされましたか」
「人払いをせよと申しつけたはずだが」
「はい、仰せの通りに。典侍とわたくし以外、すべての者は他所へ遣いに出ております……が、曲者にございますか?」
尚侍が声をひそめる。
皇太后は不愉快きわまりないといった表情をうかべ、拾った袋を尚侍に突き出した。
「これの持ち主を調べよ」
「仰せの通りに」
「わらわは湯殿へ参る。寝所の男は、いつも通りに処分しておけ」
「かしこまりました」
尚侍は深々と頭を下げ、小袋を握りしめた。
15章 完