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~散花~
第16章 疑惑
翌朝――
手鏡を覗いて身じたくを調えているときだった。
「玉蘭さま!! 玉蘭さま!?」
ひどく取り乱した足音が、玉蘭の曹司の前で止まった。
何事かと襖を開くと女蔵人が血相を変えて立っていた。背後には背の高い内官が二人、無表情に控えている。
「な……」
何があったのですか、と口を開くよりも先に女蔵人は玉蘭の袖を掴んだ。
「大至急、座敷へお越しください!! 女官長さまがお呼びです。女官長さまは…」
玉蘭は、内官二人によって文字通り歩廊へ引き摺り出された。
「女官長さまは、たいそうお怒りでいらっしゃいます!!」