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~散花~
第16章 疑惑
「どうして…そんな嘘をつくの…?」
「そなたこそ、偽りを申すな!」
半泣きで女蔵人に訴える玉蘭の懇願は、ピシャリと女官長に遮られた。
「そなたは、空白の半刻を利用して畏れ多くも青龍殿に忍び込んだのであろう。いったい目的は何です? 盗みでも働くつもりであったか」
「いいえ…いいえ女官長さま。そのようなこと、あるはずがございません。青龍殿の場所も知らないのです。それとも、わたしが青龍殿にいたというのを目撃した方がいらっしゃるのでしょうか」
涙がはらはらと零れた。
そんな哀れな姿も、女官長の心を動かすものではなかった。
「まったく、どこまでもふてぶてしいこと。この小袋が何よりの証拠だというのに」