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~散花~
第19章 絶望
這いつくばって私物をかき集めていると、曹司の襖がスーッと開いた。
乙女がふんぞり返って玉蘭を見下ろす。
「本日より、この曹司は私が使うことになりました」
「え…?」
「女官長さまのご指示です。それから…今宵の“試し”は私が代役を仰せつかりましたわ」
ふふん…と鼻を高くした乙女の姿に、玉蘭は、ふと思い出した。
この乙女は――
そうだ、確か“ご検分”の日に右隣にいた子だ。
玉蘭に嫉妬の炎を燃やしていた。
(まさか…この人がわたしを罠に…?)
玉蘭は愕然として乙女を見上げた。