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~散花~
第19章 絶望
そのとき歩廊の奥から女蔵人が現れ、乙女の前に額づいた。
「お支度は調いましたでしょうか。女官長さまがお呼びでございます」
「わかったわ」
「ちょっと待ってよ!!」
玉蘭は思わず声を張っていた。女蔵人に詰め寄る。
「どうしてあんな偽りの証言をしたの!? ねぇ、どうして本当のことを言ってくれなかったの…。そのせいで、わたしは…わたしは酷いめに…」
涙で声が震える。
女蔵人は相変わらず無愛想に玉蘭を無視した。その態度に、玉蘭はハッと気づく。
「まさか…あなたが…あなたなのね、わたしの厨子から御守りを盗み出したのは…なんてひどいことを…」
この騒ぎに何事かと、他の曹司の襖も次々と開き、中から同輩の乙女たちが顔を出した。