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~散花~
第19章 絶望
「わたし…ぜったいにあなたを許さないから!! ぜったいに…」
玉蘭が肩を揺さぶっても、女蔵人は退屈そうに視線をそらした。
「いったい何事ですの? 騒がしゅうございましてよ」
最も広い曹司を割り当てられていた旻凉々が神経質ぎみに眉を寄せて、ピシャリと襖を閉めた。
他の乙女も肩をすくめて曹司に引き戻る。
「では私はこれで。女官長さまがお呼びですので」
気どった仕草で一礼すると、乙女は女蔵人を従え歩廊の奥へ消えてしまった。
また、玉蘭はひとり残された。
屋根をたたく長雨の音が耳に響いた。