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~散花~
第28章 波紋2
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「恐れながら啓上いたします」
女官長は最奥へ向けて声を張り上げた。
「先ほど、鶯燕館での勅書授与が相済みましてございます」
「そうか…ご苦労…」
「しかしながら、一つだけ解せぬことがございまして…」
「……いかがした」
「帝の思し召しにより、十六才の小娘が第一夫人に叙せられたのでございます」
「第一夫人…だと…?」
皇太后の声音がかすかに曇る。
暗に、「第一夫人など選んだ覚えはない」と言っているのが女官長にはわかった。
「左様でございます。帝の…俄かのお心変わりがございましたようで…」
「…ふむ……それは女官長もさぞや本意なきことであろう…」
「いえ…わたくしのことはよいのでございますが…」
「よくわかった。わらわもかたはらいたい。診察が済んだら鳳凰殿へ参内しよう。帝のご真意をお伺いする。尚侍、先触れを」
「かしこまりました」
「恐れ入ります」
尚侍と女官長が同時に頭を下げた。
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