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~散花~
第30章 母と息子
「それは…皇后のためなのです」
「なに?」
思ってもいなかった返答に、皇太后は戸惑いの色を浮かべた。
「母上もご存知のように、皇后にはあの通り激しい気鬱の相がございます。しかしわたくしとしては、母上を見習い、後宮の女あるじとしての自覚をもっと抱いてほしい。後宮を取りまとめるだけの心の強さを身に付けてほしいのです」
「…まあ確かに、皇后の不甲斐なさは問題じゃと…、わらわも感じてはいたが…」
しかし皇太后の瞳から、疑わしげな色は消えない。