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~散花~
第30章 母と息子
「そこで、少しでも皇后の気鬱が晴れ晴れとするような、友と呼べる相手を作ってやりたいと考えたのです」
「しかしそれなら、皇后には既に第七夫人の趙芙蓉がおろう」
「まさにそれです、母上。あのふたりはもともと乳姉妹。趙氏の皇后への忠誠心は強く感心なことですが、それゆえ馴れ合いがあるのも事実です。今の皇后に必要なのは第三者なのです」
息子の弁に、皇太后の瞳が揺らいだ。
「だ…だからと言って、何も第一夫人にまつりあげなくても…」
「皇后に対して諫言を呈さねばならぬこともありましょう。そして皇后自身、うかつに蔑ろにはできぬ身分。それが第一夫人です」
「ん…しかしっ…よりによって、なぜ身分の低い娘をわざわざ。他にもふさわしい女人はたくさんいたであろうに」
「あの琳玉蘭は、朗らかで心根の素朴な信頼できる娘です」
「どうして帝がそこまでご存知なのです?」
皇太后の柳眉が上がる。
蒼牙は涼しい顔で答えた。
「秀瑛の進言ですよ、母上」