この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
~散花~
第31章 その夜…
「どうして芙蓉さまが、このように手狭な居室に移らねばならぬのですか? わたしは承服できません」
バンッ――と音を立て格子戸を閉めるなり、朱佳(シュカ)は憤怒した。
彼女は芙蓉の内侍である。
「そのように言うものではないわ、朱佳。仕方ないでしょう、あちらのほうが私より六位も上なのだから。私が南殿に居座るわけにはいかないのよ」
「芙蓉さま…」
元・尚侍、皇后の腹心で第七夫人、側妃の元・筆頭…。
今や微妙な立ち位置に追いやられてしまった芙蓉を、朱佳は気の毒そうに見つめた。
そのとき、
「な…なんですかこれは!!」
室外から別の内侍の悲鳴が聞こえた。