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~散花~
第32章 朝見
「あの…わたくし、もう15年も紅梅宮の掃司で女官をやっておりますの」
「そ…そう……」
「もし琳夫人さまの御付きにお取り立てくだされば、誠心誠意お仕え申し上げますわ」
「あ、ありがとう…よく覚えておきますね」
玉蘭はひそかに溜め息を落とした。
(またか…)
起床してから一刻も経っていないのに、これで9人目だ。
第一夫人の御付き内侍は女官にとって出世の大チャンス。
だからこうして直接売り込んでくる。朝、目覚めた時から手水の時も、朝餉の時も、化粧の時も、礼服に着替える時も……。
「こちらが青龍殿への御門ですわ、琳夫人さま」
到着してしまった。