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~散花~
第32章 朝見
「そのように不安な顔をなさらなくても、皇后さまは、皇太后さまと違い穏やかな方ですから大丈夫ですよ」
「はい…。けれど、お体の具合がお悪いのは気がかりでございますね」
「そうね…、皇后さまは一昨日の謁見の儀もご欠席なさっているし…」
芙蓉の顔が曇る。
謁見の儀――
後宮の総ての女人が鳳凰殿に勢揃いし、皇帝の御言葉を賜る儀式。これも昔は毎朝行われていたらしい。一説では、その日の閨の相手を帝が見繕うための謁見であったとかなかったとか…。先々帝の代に簡略化され、今では月に一度の特別行事に納まっている……と、お妃教育の講義で習った気がする。
一昨日実施されたということは、次の“謁見の儀”はだいぶ先だ。
(わたしが帝に拝謁できるのは、いつになるやら)