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第32章 　朝見

｢皇帝陛下は、どのようなお方なのでしょうか｣

気難しい人じゃないといいなぁ…と、軽い気持ちで聞いただけなのに、芙蓉はぎょっとしたように玉蘭を振り返った。

｢どのような…なんて、そのように下々の男を相手にするような評し方、畏れ多くてできません｣

｢す…すみません｣

しゅんとする。

｢それに、選女の試しで一度お会いしているでしょう｣

｢あ…いや……｣

いろいろあって、実はまだお会いできていない。

いろいろ――

後宮内で、もっと噂話のネタにされているかと思っていたのに、芙蓉が事情を知らないのは意外だった。

｢いろいろと、ありまして……｣

言葉を濁すと、芙蓉は奇妙なものでも見る目をして首を傾げた。