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~散花~
第3章 処女
「これはこれは范貴人さま。ご機嫌うるわしゅう。しばらくお見かけいたしませんでしたな」
ずいぶん歩いてたどりついた御殿の前で、内官が愛想よく跪拝した。
「この娘を選女の候補に加えてほしいの」
「あいにく、本日の午前中に申込みの受付は終了いたしました」
深々と頭を下げる内官に、玲利はこともなげに袖の下から袋を取りだし手渡した。
「そういえば、あと1枠だけ空きがございました。どうぞこちらへ。まもなく女官長からの言葉がございます」
しれっとして御殿内へ招き入れる。
玉蘭は呆れつつも、なぜ玲利がこれほど焦って自分を都に連れてきたのか、ようやく理解した。
本当に、ぎりぎりの滑り込みだったのだ。