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~散花~
第35章 初夜
「こちらにおかけになって、帝のお越しをお待ちください」
とばりの外側に置かれた二帖の畳。
玉蘭がそこに正座すると、尚侍は小さな砂時計を手渡してきた。
意味が分からない。
「古来より続く後宮のしきたりでございます。帝がお渡りあそばしましたら、この時計を反転させてください。ちょうど一刻分ございます。一刻たちましたら、お妃さまは必ず御寝所から退出しなければなりません」
(え…たったの一刻!?)
たとえ盛り上がっていても、中断しなければいけないのだろうか…。
不満げに頷くと、尚侍は「それがしきたりでございます」と繰り返した。