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~散花~
第35章  初夜

「一刻たちましたら、お妃さまはあちらの脇戸からお出になってください。そこに控えの御局がございますので、そちらで夜が明けるまでお休みいただきます。

御寝所の周囲は常に二十人の武官と蔵人が警固しております。それらの者達に、決して寝衣姿をお見せになってはなりません。

それゆえ、くれぐれも他の扉からお出になりませぬように。明け方、わたくし共がお迎えにあがりましたらお目覚めいただいてよろしゅうございます」

尚侍は流暢に説明し終えると、「なにかお尋ねになりたいことはありますか」と付け加えた。

すっかり気圧されていた玉蘭は、黙って首を横に振った。

「それでは、お夜りあそばしませ」

尚侍が一礼し、すべての戸が閉められた。




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