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~散花~
第35章 初夜
「ふわぁ…」
蒼牙が気だるそうに欠伸を漏らし、寝具の中にもぐりこんだ。
(え…と、わたしはいったいどうすれば…)
玉蘭は、そばに侍るタイミングをつかめず畳の上でおろおろしていた。
「そなた、文字は読めるのか」
やぶからぼうに問われる。
「は? ……はい」
「ならば…」
蒼牙が枕元から何かを探り出すと、バサッと玉蘭に投げて寄越した。
年季の入った草紙だ。
手に取り表紙を確認する。
(…孫子?)
「それを廿五頁から読め」
「え…?」
玉蘭はあっけにとられた。
頭の中に「???」と疑問符が並ぶ。
どうして初夜に兵法書を?
真意がさっぱりわからない。