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~散花~
第38章 兄と弟
「ででで殿下~~!! どちらへおいでだったのですか~!?」
白虎殿に戻るなり、内官が涙眼で出迎えた。
大の男が、見苦しい奴め。夜まで戻らぬと言い置いてあっただろうが。
秀瑛は内心で舌打ちした。
「湯殿へ参る」
「それどころではございません!! 陛下がお見えです!」
「なに?」
秀瑛は立ち止まり内官を振り返った。
「兄上が?」
内官が青ざめて頷いた。
「もう四半刻ほども殿下をお待ちでいらっしゃるのです。お早くお着替えあそばして、御寝所へお急ぎ下さいませ」
「寝所?」
なぜ寝所なんだ?
白虎殿には表座敷だって対面の間だってあるというのに…。
内官に急かされながら、秀瑛は嫌な予感に気を滅入らせた。