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~散花~
第39章 心のゆくえ
――美紅は、兄上が東宮時代、嫁いできた正妃とたった一度の契りでできた姫だ。
――兄上は、五歳か六歳の頃には既に自分の性癖を自覚していたそうだ。
――しかし、東宮として世嗣を残さねばならぬという義務感と、なかば強迫観念から大量の阿片を服用し、感覚を麻痺させた上で、正妃(おんな)と肌を重ねた。
――そのあと五日間、嘔吐し続けたらしいがな。あのときの副作用は、兄上にとっては耐え難いものだったんだ。
――だからもう、兄上が女を抱くことはない。