この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
~散花~
第41章 苦悩
「だから芙蓉さまも、ぜひ囿苑へお散歩に行きましょう! そして“偶然”陛下とお会いするのです!! この機を逃す手はありません。散歩中の寛いだ雰囲気の中、陛下は必ずや芙蓉さまにお目を留めて下さいますわ。あわよくば、そのまま夜の御召しへ…」
芙蓉は呆れて溜め息をついた。
下世話すぎる。
(そんなあざといやり方、私は好きじゃない)
しかし朱佳は食い下がった。
「けれど芙蓉さま。他の側妃の中にも、この情報を密かににつかみ、さっそく囿苑へ向かった者が数名いるよしにございます。下位の貴人に先を越されましては、わたし、悔しゅうございます」
朱佳は涙ぐんだ。
(ならば尚更、そのように下臈な駆引きめいたこと、私にはできない)
そう言いさして、芙蓉はふと口をつぐんだ。